2011年12月20日火曜日

雇用契約解除申出に関する諸規定

民法第627条
  1. 当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。
  2. 期間によって報酬を定めた場合には、解約の申入れは、次期以後についてすることができる。ただし、その解約の申入れは、当期の前半にしなければならない。
  3. 六箇月以上の期間によって報酬を定めた場合には、前項の解約の申入れは、三カ月前にしなければならない。

民法第628条
当事者が雇用の期間を定めた場合であっても、やむを得ない事由があるときは、各当事者は、直ちに契約の解除をすることができる。この場合において、その事由が当事者の一方の過失によって生じたものであるときは、相手方に対して損害賠償の責任を負う。
 
労働基準法第20条  
  1. 使用者は、労働者を解雇しようとする場合においては、少くとも三十日前にその予告をしなければならない。三十日前に予告をしない使用者は、三十日分以上の平均賃金を支払わなければならない。但し、天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となつた場合又は労働者の責に帰すべき事由 に基いて解雇する場合においては、この限りでない。
  2. 前項の予告の日数は、一日について平均賃金を支払つた場合においては、その日数を短縮することができる。
  3. 前条第2項の規定は、第1項但書の場合にこれを準用する。
労働者の都合による退職について労基法上は何の定めない→原則たる民法が適用




※以下、Wikipediaより

自己都合退職の方法

自己都合退職は、民法上の労働契約の解除であり、その方法は文書、口頭、いずれも有効であり、いずれの方法も行われている。但し、離職の申し出の書 証とするためには、退職届(退職願・辞表ともいう)を提出する。一般的に退職願の書式などが紹介されることもあるが、これらは礼儀やマナーの問題として慣 習的に定められているもので、法律的には、本人により退職の意思が明示されているならばどのような書式でも有効である。

労働慣習では、労働者からの一方的な労働契約解除を文書で申し出ることを「退職届」といい、完全自筆で文書を作成する場合と、会社に既定の様式が用 意されている場合がある。期間の定めのない労働契約の場合は「退職届」を提出する事により労働契約を解除する事ができる。これを任意退職と言う。解除の時 期は、原則として民法第627条第1項により14日後に労働契約の解除(解約)となる。ただし月給制においては民法第627条第2項により、月の前半に退 職を申し出た場合は当月末に、月の後半に退職を申し出た場合は翌月末に、退職は成立する。また年俸制のような「6ヶ月以上の期間をもって報酬を定めた雇用 契約」においては民法第627条第3項により、3ヶ月後に退職が成立する。しかし期間の定めのある労働契約については、民法第628条により原則として契 約期間の満了まで退職する事はできない。

また、双方が合意すれば、退職日を14日後以外に設定することも可能である。これを合意退職と言う。この場合は、労働契約解除日の合意解除・合意解約を行ったことになる(これも契約の一種である)。

就業規則に おいて、退職の申し出を14日前以上に申し出るべきこととされている場合、民法627条を任意規定と解して就業規則規定の予告期間を特約として効力が生じ るという学説があるが、高野メリヤス事件において、民法627条に抵触する部分については無効であるという判例があり、民法627条に従い14日経過後に 退職は成立するとされる。一方では大室木工所事件において、「民法第627条第1項を排除する特約は無制限に許容するべきではなく、労働者の解約の自由を 不当に制限しない限度においてはその効力を認めるべきであるから、労働者の退職には使用者の承認を要する旨の特約は、労働者の退職申し立てを承認しない合 理的な理由がある場合の外は、使用者はその承認を拒否しえないという限度でその効力を認めるべき」(昭37.4.23 浦和地裁熊谷支部)という判例があるが、本判例は就業規則の退職予告期間そのものを争点とした裁判ではなく、就業規則の予告期間を優先とするという内容の 判例ではないため、予告期間において就業規則を優先とする判例はない。

また、就業規則ではなく労働者が使用者と労働契約書などで個別合意して退職の申し出を14日前以上に申し出るべきこととした場合、民法627条を任意規定と解して個別合意の予告期間を特約として効力が生じるかという問題もある。

また、労働基準法20条の解雇予告期間との均衡から、就業規則による予告期間延長を1ヶ月までは有効と解する見解もあるが、労働基準法の解雇予告期 間は、労働者にとっては突然解雇されれば賃金を得られず生活ができなくなるという重要性にかんがみ必要とされているものであり、使用者の経営上の利害と労 働者の生活上の重要性を同列に論じるべきではないこと、本来労働者を保護する趣旨である労働基準法20条の規定が結果的に労働者を拘束し、労働者の退職の さいに不利に作用する根拠となり、労働基準法20条がために就業規則で1ヶ月の退職予告期間を強いられるのは問題である、労働基準法20条は使用者を拘束 する規定であり、(直接的であれ間接的であれ)労働者側を拘束する規定ではない、等の問題点や矛盾が生じることから当解釈(労働基準法20条を根拠として 1ヶ月は有効という解釈)は無理があり、一般的には受け入れられていない。

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